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不来方の日々(2893号)

思うままに書いております。最近はテレビやラジオの話が多め。

テレビのネットチェンジとは?

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コメント

1. 無題

具体的にどの局が減る可能性がありますか?

2. 無題

「増えるか減るか」の2択の場合なら、という極論の場合です。
減ることも現実的ではないかと思います。
例え経営危機になったとしても、同じ系列内での相互扶助をして
行けるとこまで維持させると思います。
現在、具体的にどこが危ないなどはありません。

ただいまコメントを受けつけておりません。

テレビのネットチェンジとは?

過日にsato19800628さんよりいただいたコメントで、
ネットチェンジとは何ぞやという質問をいただきましたので、
全然説明していませんでしたので今回取り上げます。

①ネットワークについて、テレビ局はまだ増える?
日本の各テレビ局のほとんどは、それぞれネットワーク(系列)に属しています。
岩手の局は全て、東京の局の系列です。
IBC岩手放送=TBSの系列局、
テレビ岩手=日本テレビの系列局、
岩手めんこいテレビ=フジテレビの系列局、
岩手朝日テレビ=テレビ朝日の系列局です。
テレビ東京の系列は岩手にはありません。

TBS、日テレ、フジ、テレ朝、テレ東の各局はキー局と呼ばれます。
同じ東京にあるMXテレビはキー局でも系列局でもありません。
一匹狼なので独立局と呼ばれます。今回は独立局は関係ないのでこれくらいに。

各系列局は、それぞれのキー局の番組を優先的に流すことができます。
また、岩手で取材したニュースの全国中継をしたり、
ニュースのVTRをキー局に送ったりします。
全国ネットのスポンサーが付いた番組を流すことにより、
キー局からネット保証金と呼ばれるおカネが貰えます。

もちろん、深夜番組や土日のお昼のようなローカル編成の時間には
保証金はありません。保証金対象外の番組に付いては
地方局が購入して放送するわけです。購入するだけだと赤字なので、
CMを流してくれるスポンサーを系列局自ら探して稼ぐのが当然の摂理。

ローカル編成の場合、スポンサーが埋まらなければ赤字なわけです。
深夜遅くまでやっても、岩手の場合はスポンサーが付かないので
東京やお隣の宮城と比べても、早く終わるし、遅い時間の番組の場合、
スポンサーがいなくてACと番組宣伝だらけなんてこともありますね。

キー局は番組を作ったりスポンサーを集めたりして、
番組をネットする系列局は放送する代わりに保証金を貰います。
その見返りに岩手の取材をしたりロケの手伝いとかするよといった
親と子の関係といったところでしょう。
平成にできた比較的新しい局を中心に、ネットの保証金頼りの
経営をしているところが多くあります。

リーマンショック前まで、広告市場の観点から地方の系列局1局を
維持するのには人口40万人が必要と言われていましたが、テレビ離れや
広告の落ち込みから、現在ではもう少し多く(45~50万)なるようです。 

岩手は現在人口約130万人。理論上では3局維持するのがやっとの県です。
東北を見てみると、民放3局の青森は138万人、秋田は108万人。
民放4局の山形は116万人、宮城は230万人、福島は199万人。
この先の人口減少を考えると、宮城や福島以外は
今の局数を維持すること自体厳しいものがあります。

また、一番人口の多い宮城でもこの先は人口増加は見込めませんので、
これ以上テレビ局が増えることもないでしょう。

テレビ局増えない根拠のもうひとつは、1990年代に開局しようとした
沖縄の日本テレビ系新局の断念にあります。
現在、沖縄のテレビ局は日本テレビ系とテレビ東京系を除く3局ですが、
日本テレビ系が開局しようと動いていた時期があります。

沖縄は離島が多く取材も大変。基地問題等もあるので重要拠点ですので、
日本テレビとしても開局させたい意向が当初ありました。
しかし、バブルの崩壊と、2000年に控えたBSデジタルへの投資等により
日本テレビ側が消極的になり、沖縄進出の凍結を表明します。

ただ、沖縄の系列になるために水面下で地元企業が受け皿企業を作っており、
日本テレビの助けなく自力で開局するなら番組は提供します、
その代わりスポンサーも自力で見つけてねという提案をして
沖縄側もこれを呑んだが結局は日本テレビがリスクが高く開局させませんでした。
結局、日本テレビが直接沖縄県の取材を現在もしています。

キー局にとっては、新局を作って子供を増やすより、
少し不便でも直接取材したほうがリスクが少ない。
先細りや先行投資が多く必要な業界では当然の選択でしょうね。

日本テレビですらこの対応。規模の小さなテレビ東京も同様でしょう。
東北でも地方の地上波のテレビ局が減ることはあったとしても、
増えることなどもうありえ無いでしょう。


②ネットチェンジとは?
ネットチェンジとは、系列局が現在のキー局と縁を切って、
新しいキー局に乗り換えることです。
ネットチェンジは通常ありませんが、過去には何例かありました。
過去の事例は後で取り上げます。

岩手の場合、ネットチェンジするとしたら今ある4局のどれかが
現在ないテレ東の系列になること、と考えていただくのがいいでしょう。

よくネットで○○の一つ覚えのようにテレビ東京に
ネットチェンジしろと念仏を唱えている方がいますので、
8月1日から岩手めんこいテレビがキー局をフジテレビから
テレビ東京に変えるとしましょう。(絶対ないけど)

基本的に、岩手めんこいテレビからフジテレビの番組が消えます。
消えたフジテレビの番組のうち、一部の番組はめんこい以外の局で
遅れてネットされることがあるでしょうが、現在よりは確実に見れません。

フジテレビの番組が消えためんこいで流れるのは、テレビ東京の番組。
ゴールデンタイムの番組の視聴率がフジに近づいたとはいえ、
他の時間帯は他のキー局と比べても視聴率が半分以下だったりするので
ネット保証金は安く、ネット保証金の発生する番組自体も
フジテレビ系と比べると大幅に減り、確実に収入が減ります。

さらに朝昼晩とローカル編成の時間が他のキー局よりも長い。
番組購入する経費も多くなり、ローカルスポンサー探しに四苦八苦することでしょう。
経営的にフジテレビ系列局の頃とは雲泥の差になってしまいます。

要は現在のキー局からテレ東にネットチェンジしても、
今よりカネにならないから誰もやらないのです。

テレビ東京側から見ると、現在岩手の各局がテレ東の人気番組を
土日を中心に放送するためおカネをかけて買ってくれてるのに、
系列局ができると取材はしてくれるけどネット保証金の負担が生じるし、
各局が買えなくなるのでおカネは入ってこない。

岩手は日本の中では重要拠点ではないのでネット局がなくても痛手ではない。
リーマンショック前に宮城や静岡にテレビ東京の系列局を作りたいとの
構想を当時の社長が言っていましたが、テレビ離れが進む昨今では
現実離れしてしまい、完全に無いものとなってしまいました。

岩手のような地方はテレ東からしたら、完全に蚊帳の外ということです。


③過去のネットチェンジ事例
大きなネットチェンジがあった2例を紹介します。

【大阪の毎日放送と朝日放送】
この2局は、昭和30年代の開局時のキー局が
毎日放送=テレビ朝日(当時の日本教育テレビ)
朝日放送=TBS(当時のKRテレビ)でした。
しかし、毎日放送は名前の通り当時の筆頭株主が毎日新聞、
朝日放送は名前の通り朝日新聞が主要株主の局でした。

一方東京のキー局はテレビ朝日と朝日新聞は協力関係、
TBSと毎日新聞は友好関係なので、大阪の系列と新聞の関係が捻れていました。
その捻れを時間を掛けて交渉して、昭和50年4月に
毎日放送=TBS
朝日放送=テレビ朝日に同時に入れ替えをしました。
現在はすっかりそれぞれの系列局として活動し続けています。

【山形の山形テレビ】
山形テレビは昭和45年に、フジテレビの系列として開局します。
開局から5年後に、フジテレビに加えてテレビ朝日の系列局にもなります。
昔の地方はテレビ局が少なかったので、複数のキー局を親として
ネットを組むことが多くありました。(現在も日本に3局あります)

さらに5年後の昭和50年、テレビ朝日のネットはライバル局の山形放送に移り、
山形テレビ=フジテレビ
山形放送=日本テレビとテレビ朝日で当時の2局はうまく納まっていました。

平成元年に、TBS系のテレビユー山形が開局して3局に。
山形テレビはこの頃、バブル景気や放送局の多局化により副業に手を出し
金貨の発行、ハリウッド映画の資本注入、バイオ研究所設立等軒並み失敗。
巨額の赤字が経営を圧迫。倒産とはいかないが、結構ヤバイ状態。

そこに手を差し伸べようとしたのが、キー局のフジテレビではなくテレビ朝日。
テレビ朝日にキー局を変えてくれるなら借金を肩代わりするという
取引があったとされますが、真相は明らかにはなっていません。

ただ、テレビ朝日が新しい系列局を1局作るよりも、
今ある局の借金の肩代わりをした方が安上がりという思惑があったようです。
株主総会を経て、慰留をしようとするフジテレビを振り切る形で
山形テレビが一方的にネットチェンジを通告したそうです。

平成5年4月にフジテレビからいきなりテレビ朝日へ。当時のフジとテレ朝は
人気が天と地の差であり、一夜にして不人気番組のオンパレードに。
山形テレビは苦情と視聴率離れにスポンサー離れでかなりの苦戦をしたそうです。
現在はフジ系のさくらんぼテレビができ、テレビ朝日系も人気番組が多くなり
改善された模様です。 

以上の2案件、もっと詳しく知りたい方は各自でお調べください。


④これから、ネットチェンジは実現可能か?
一言で言えば、もうありえない。
ネットチェンジの2例を挙げましたが、要は株主かカネかということです。
現在の地方局は、キー局におんぶに抱っこの経営状態です。
さらに局によっては、キー局が一番の大株主ということも多く、
ネットチェンジなんて株主総会で提案するのは狂気の沙汰です。

これからも何とかやっていくなら、おとなしくそのままの系列でやっていくのが一番。
利益を出して経営するのが民間企業ですから。ボランティアではありません。

もし、どうしても岩手にテレ東の系列局を作りたいのであれば、
作りたい貴方が会社を設立し、億単位のスポンサーになることが一番の近道かと思います。
 
テレビのネットチェンジは一朝一夕で容易に変わるものではない、
テレビの衰退で地上波テレビ局もこれ以上増える見込みはない、
どうしてもテレビ東京系の番組をリアルタイムで見たいなら、
岩手には住まないこと。ということでこの話を終わります。 
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コメント

1. 無題

具体的にどの局が減る可能性がありますか?

2. 無題

「増えるか減るか」の2択の場合なら、という極論の場合です。
減ることも現実的ではないかと思います。
例え経営危機になったとしても、同じ系列内での相互扶助をして
行けるとこまで維持させると思います。
現在、具体的にどこが危ないなどはありません。

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